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『神様なんかいない!』救急車を見るたび、「あの日」を思い出す。 [人気記事]

前回の続きです・・・

未明の救急搬送!



私は娘が生まれた「あの日」まで、
無茶さえしなければ、子どもは無事に生まれると思っていた。



元気で健康な赤ちゃんを産むために、
妻は食べたい物を我慢し、母体に良いことは積極的に取り入れた。



出産予定日前の定期健診で、血圧が少し高く、
妊娠中毒症の恐れがあったので、念のため管理入院もした。



妊娠中の10ヶ月、タバコやお酒を摂取するどころか、
匂いのする場所にさえ近づかない徹底ぶりだった。



『でも、娘は重度の新生児仮死で生まれてしまった・・・。』



だけど、私は信じていた。
きっと、亡くなった母が「まだ早いよ!」って、娘を追い返してくれる。



人の幸せは平等だから、
私の運と幸せは、娘を助けるために残していたんだと・・・。



『娘が札幌の病院に搬送されるのは、助かるために行くんだ!』



私が不安な顔をしたら、妻はもっと不安になる・・・

暗い顔をするのはやめよう・・・

元気になった娘を連れて、妻の元へ帰ろう・・・



そう心に決めて、妻に会いに行った。
ナースステーションの前に、ストレッチャーに乗せられたままの妻がいた。



私を発見した妻は、一瞬、安堵の表情を浮かべたが、
私の顔を見て娘のことを悟ったようだった・・・。



ついさっきまで、
大量の出血で命の危険性があった妻が、私の腕を掴んで言った。



『私のことは気にしないで、赤ちゃんのことをお願い!』



まだ力が入らない手で、必死に私の腕を掴んでいた。
掴むのもやっとの握力で、少し妻の手は震えているようだった・・・。



僅かな時間だったが、
娘に対する妻への想いは、心が痛いほど私に伝わってきた。
あの時の妻の不安そうな顔と私の左腕の感触は、今でもはっきりと憶えている。



私はどうしても、娘を助けたかった・・・。

娘のことが大切だったという気持ちだけではない・・・。



きっと娘に何かあったら、妻は自分を必要以上に責め、
つぶれてしまうのではないか?と思った。



救急車が到着し、私も同乗しようと思ったが、
何かあった時に身動きが取れるように、自家用車で後ろをついて行った。



少しずつ離れていく救急車を見て、
娘が私たちからいなくなるような気がした・・・。



あの時、私は思った・・・。
『神様なんかいない!』



その気持ちは今でも変わらないし、
前を走る救急車を見ると、この時のことを思い出してしまう・・・。



続く・・・






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